建築施工管理の納め方、ディティールを学ぶための書籍はたくさんあるのですが
店舗系の施工管理者が読むための書籍は皆無です
これは私が知っている知識をまとめるしかない。ちょっとした使命感でこの記事を作っています
これから店舗の施工管理として頑張る方や
先輩の方々にも共感していただけるのではないでしょうか
今回は仮囲いの寸法が500mmとなっていることの問題について書いてみました
ご一読いただけると幸いです
はじめに
今回の記事は現場での安全管理が私たち現場監督では対応しきれない事案です
この記事が然るべき人たちに届き現場状況が改善されれば、ありがたい事です。
私たちの訴えは、現場の小言程度と思われています。
「仮囲い500mm」は店舗内装工事の悪しき習慣であり
私たち現場施工者の安全が蔑ろにされていると感じる、一つの事案です。
リースラインから500mmの仮囲いの何が悪いのか
それは私たち現場監督よりも、実際に作業を行う職人に危険が及びます
中小企業の労働者がケガするよりも、大企業の施工会社がケガをしたほうが事が動くと思うのです。大企業の労働者がケガをしたら隠ぺいするか、大ごとになるかです
俗に言う「大きい声」ってやつです
リースラインから化粧ボードまで500mmはデフォルト
施設側が決めた規則:
共用通路の避難動線の有効幅を確保する為に、店内側の仮囲い寸法は500mmとします。
施設によって通路幅は違うのに、どの施設でも共通です、この設定には疑問が残ります。
なぜ500mmで不満が出るのか施設管理者が考えることをやめた結果、「前にならえ」で決めているとしか考えられないです。
リースラインから500mmの「リースライン」って?
「リースライン」とは、ショッピングセンターなどの商業施設において、賃貸借契約に基づく賃貸区画と、通路などの共用部分の境界線となり区画面積を表す基準となります。
その施設内で契約されたそのテナントのための専用の店舗区画のことです。
リースラインから外、つまり共用部にはみ出て造作をすることは契約違反となります。
ここからココまでは使っていいですよ。と言うことです
500mmがダメな理由
なぜ500mmがダメだと言うのか
500mmのスペースでは脚立が設置できないからダメなんです。
500mmで正常に設置できる脚立は3尺が限界です
一般的な天井高さは2200〜3500mmくらい
そこで使用される脚立が最低で3尺、最高で7尺の脚立となります。
この脚立を使用しなければ区画内の工事ができないのです。
脚立がなかったら上の方の作業は出来ないや
もう帰っちゃうよ!
最低でも4尺の脚立が必要です
脚立の寸法
与えられた500mmのスペースで使用できる脚立の大きさ
いつもお世話になっております。
長谷川工業株式会社さんのデータをお借りしました
一般的なサイズ
呼称(大きさ) | 天板までの高さ | 必要な設置幅 | 500mmに納まるか |
3尺 | H810 | 幅460 | ▲ |
4尺 | H1100 | 幅510 | × |
5尺 | H1400 | 幅570 | × |
6尺 | H1700 | 幅620 | × |
7尺 | H1990 | 幅680 | × |
3尺ですらすでに普通に建てることはできません
正常に使用するのなら、3尺の脚立が限界です。
仮囲いの隙間に脚立が立てられなくて怒りが込み上げてきます
作業できないじゃん
実際の現場ではどのように使用しているか
安全管理は全くの無視です。
そして施設側も黙認するところなので、自己責任にて使用しましょう。
と言うことです。
現場では仮囲いとリースラインの間でどのように使用するか。
脚立を開かずに使うんです。
安全に使用するには脚を全開にしなければならないのですが、そんなスペースはありません
だから脚を閉じて使うんです
もちろん危ないし、不安定なので怖いです
事故は自己責任です
施設からの無言の圧力
納期優先なので仕方なく…
仕方のないことなんです
これが危険な職種ということでしょうか・・・違うと思うのですが
施設への問い合わせ
実際の現場ではありえない使い方をしているのですが
危険な行為を率先して行っているわけではありません
安全対策は常態的に行われていませんので、施工条件の改善を施設へ依頼しています。
私は工事に入る前には仮囲いとリースラインの有効を直接確認するようにしています。
施工に当たり、渡された書面では、最初からリースラインと仮囲いの外面の寸法は500mmとする旨が明記されています。
それを踏まえて施設管理者へ、これでは安全対策がとれないことを指摘します、もしかしたら私はタチが悪い施工者なのかもしれません
そして帰ってくる答えはいつも決まっており、「みなさん500mmで施工していますから」
していますから〇〇〇 の後は言わないんです
ズルいですよね
危なくないですか?との問いには
笑って誤魔化す人、開き直る人がいるようです。
はて?何のことですか?
建築会社が施設管理者を行なっている場合は、「単管等で足場を組んでください」と言います。
もし仮に単管足場を組んだ場合、現実的に仕上げは不可能なんです。
管理者はそれでは施工できない事を分かっていて、わざと足場を組めば?と言います。
完全に嫌がらせです
現場では常態的に嫌がらせが行われています。
嫌なら施工を請けなければ良い。請けたんでしょ?じゃぁやりなさいよ と言うスタンスです。
わからなくもないですが…
追記 2023/12/1
施設との打合せがありましたので、
仮囲いの寸法を教えてください
リースラインから500mmですよ
脚立立たないので最低でも600mm確保してください
決まっている事なので500mmでお願いします。
安全管理できないですけど、落下したらどうするんですか?
共用通路を歩くお客様が最優先ですので・・・
現場のことは知らないよ
と言うことですか?
えへへ
そろそろ、そう言うご時世じゃないと思うんですが
落下したら厚生労働省へ通報でいいんですよね?
さぁ次の議題へ
最後は無視されました。
こう言うところを改善していかないと、建築は危ないのはわかっているけど
安全対策もしてくれない、そんな体質では長くはもたないでしょう
小さい声でもいつかは届くと信じて、小さなことからコツコツと言っていきます。
私ができる精いっぱいの事
今回の記事を書くにあたり、通報先を見つけましたので共有させていただきます。
通報先(公益通報の通報先)
厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/koueki_input
こちらに通報する方法がありました
[私は〇〇〇各店施設内で、賃貸契約にて入居するテナントより内装工事を請け負う工事業者です。
テナント工事区画内にて使用される足場について、株式会社〇〇〇より使用制限を設けられており、その使用条件は安全衛生管理上問題があるため、改善の申立てを続けてきましたが受け入れてもらえません。
施工現場での安全を確保できないので、今回公益通報を利用させていただきました。
[現場の状況]
足場脚立の安全ロックができない脚の開きでの使用を強制される。
これは〇〇〇施設内の全ての工事区画内で行われるていることです。その行為が行われるのは賃貸区画(リースライン)と共用部(通路)の間に設置される仮囲いのスペースです。
株式会社〇〇〇より指導されるのは、賃貸区画(リースライン)と共用部(通路)の間に設置される仮囲いは500mmと定められており、仮囲いは不燃石膏ボード9.5mmと軽量鉄骨材65mmにて構成されます。
賃貸区画(リースライン)と共用部(通路)の間に設置される仮囲いの寸法は500mmとなり、仮囲いを構成する不燃石膏ボード9.5mmと軽量鉄骨材65mmを除くと工事区画内の使用有効寸法は(500-9.5-65)=425.5mmとなります。
一般的な足場脚立の使用寸法は、460〜680mmとあり、どの規格の足場脚立でも正常使用をすることができません。
現場では正規の使用方法ではない場合、使用することが出来ないことは分かっています。
しかし、その使用方法でなければ工事ができず黙認で進められています。
株式会社〇〇〇には、使用条件に安全衛生管理上の問題があり、改善を求める申立てを続けてきましたが、依然改善には至りません。他の工事業者は何も言わず施工しているので、この条件で施工するようにと言う始末です。
今回の通報理由の内容としまして、足場脚立の正常使用が出来ないため、足場脚立の不正使用時に落下転落の危険度が高く、仮囲いの設置寸法の改善を求めることです。
現場で危険性を訴えても聞き入れてもらえません、どうか改善の指導をしていただけないでしょうか
何卒、宜しくお願いいたします。
企業名は伏せさせていただきました
何か動きがあればこの記事を更新します。
まとめ
- 仮囲い内で使用できる脚立は、3尺
- 大きい脚立の使用は完全自己責任
劣悪な労働環境と言われる一つの理由です。
少しづつ労働環境を改善しなければ人手不足、若手の参入は見込めません
建築業界に未来はありま・・・
私の経験がみなさんの参考になればうれしいです。
建築現場が良い環境になることを願って!
私のバイブルです
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