建築施工管理の納め方、ディティールを学ぶための書籍はたくさんあるのですが
店舗系の施工管理者が読むための書籍は皆無です
これは私が知っている知識をまとめるしかない。ちょっとした使命感でこの記事を作っています
これから店舗の施工管理として頑張る方や
先輩の方々にも共感していただけるのではないでしょうか
今回は皿切りとバカ穴について書いてみました
ご一読いただけると幸いです
なぜ施工管理者が皿切りやネジの頭サイズを気にするのか
施工管理者が皿切りのサイズやネジの頭サイズを気にするのは、
例えばフラットバーを固定するために、ビス穴の位置を求められたときです。
ビス穴の位置を考えるときは、次のような理由で、つい端のほうに寄せたくなります
- 母材の端のほうが、固定の効果が高そうに感じる
- 見た目としても、端のほうが都合がいい
ところが端に寄せ過ぎると、母材から皿頭がはみ出してしまうことがあります。
穴あけの熱で母材がひずむ
もう一つの理由は、穴をあけるときの熱です
キリで穴をあけると熱が発生し、その熱で母材がひずんで端のほうへ膨らんでいきます。
すると穴の箇所だけが膨らんでしまい、製品としても基準を満たさなくなります。
穴の位置を端に寄せ過ぎないことが、見た目だけでなく、製品の品質にも関わってきます

皿頭の大きさを把握していれば、
端からどのくらい離すべきかを根拠をもって説明できます
皿切りΦやネジの頭のサイズを知っておくことは、設計者との打ち合わせや、
職人さんへの指示でも役に立ちます。
皿切りとバカ穴とは
ネジの軸を通す穴がバカ穴(通し穴)です。
ボルトでも、なべ頭のネジでも、皿ネジでも、取り付ける側の板にはバカ穴をあけます。
皿ネジだけは、頭が円すい形になっています。
この頭を納めるために、バカ穴の入口を円すい状に広げる加工が皿切り(皿もみ)です。
図面に「M4皿」とだけ書かれていることも多く、現場では職人さんの経験に任せられがちです。
ただ、バカ穴と皿切りは役目が違うので、分けて考えておくと失敗を防げます。
皿切りとバカ穴の関係
バカ穴は、どんなネジでも開ける穴です。
皿切りは、皿ネジのときだけ、バカ穴に加える加工です
バカ穴の役目:ネジ部を逃がして板を引き寄せる
バカ穴は、ネジ部が引っかからずに通るための穴です。
ネジ山が下地側だけに噛むので、締めるほど板が下地に引き寄せられて密着します。
穴がきつすぎると板側のネジ山が邪魔をして、板が浮いたり、割れたりすることがあります。
皿切りの役目:頭を受けて面一に納める
皿切りは、皿ネジの頭の円すい面を受ける座面をつくります。
頭が仕上げ面と面一になり、引っかかりのない見た目になります。
浅いと頭が飛び出し、
深すぎると板厚が足りずに保持力が落ちることがあります。
なべ頭やボルトは頭が板の上に乗るので、皿切りは必要ありません。
【対応表①】皿小ねじ(M3〜M10)の寸法
一般的な皿小ねじ(JIS B 1111)の寸法です。単位はmmです。
| ねじ呼び | ネジ部Φ | 皿部Φ(頭部径) | 頭の高さ |
|---|---|---|---|
| M3 | 3 | 6 | 1.75 |
| M4 | 4 | 8 | 2.3 |
| M5 | 5 | 10 | 2.8 |
| M6 | 6 | 12 | 3.4 |
| M8 | 8 | 16 | 4.4 |
| M10 | 10 | 20 | 5.7 |
【対応表②】現場用:バカ穴と皿切りΦの早見表
バカ穴は、ボルト穴径の2級(JIS B 1001)に基づく寸法です。
皿ネジに限らず、ボルトやなべ頭のネジにも共通です。
皿切りΦは、皿ネジだけに必要な寸法です。
国内の一般的な皿小ねじ向けの値と、ISO系の頭を想定したJIS B 1017の値を並べています。
単位はmmです。
| ねじ | バカ穴ドリルΦ | 皿切りΦ (国内の一般皿小ねじ) | 皿の深さ | 皿切りΦ (JIS B 1017) |
|---|---|---|---|---|
| M3 | 3.4 | 6.6 | 1.8 | 6.3 |
| M4 | 4.5 | 8.6 | 2.2 | 9.4 |
| M5 | 5.5 | 10.6 | 2.7 | 10.4 |
| M6 | 6.6 | 12.8 | 3.3 | 12.6 |
| M8 | 9.0 | 16.8 | 4.3 | 17.3 |
| M10 | 11.0 | - | - | 20.0 |
M10は頭部径が20なので、皿切りΦに余裕がほとんどありません。
現物で試し切りしてから本番に入るのが安全です。

迷ったときは、手元のねじの頭部径を測り、それより少し大きい刃径を選ぶと確実!
【対応表③】ビス(皿木ねじ)の寸法と皿切りΦ
木ねじ(JIS B 1112)の皿頭の寸法と、皿切りの参考寸法です。
皿切りΦと深さは、メーカー(タキゲン製造)の技術資料によります。単位はmmです。
| 呼び径(ネジ部Φ) | 皿部Φ(頭部径) | 皿切りΦ | 皿の深さ |
|---|---|---|---|
| 2.1 | 4.2 | 4.6 | 1.2 |
| 2.4 | 4.8 | 5.2 | 1.3 |
| 2.7 | 5.4 | 5.8 | 1.5 |
| 3.1 | 6.2 | 6.7 | 1.6 |
| 3.5 | 7.0 | 7.5 | 1.8 |
| 3.8 | 7.6 | 8.1 | 2.0 |
| 4.1 | 8.2 | - | - |
| 4.5 | 9.0 | - | - |
皿切りΦは、頭部径より0.4〜0.5mm大きい寸法になっています。
呼び径4.1以上は参考にした資料に載っていないため、端材で試し切りして決めてください。
3.4や4.3などの寸法は、規格ではなくメーカー独自のビスにあるサイズです。
頭の形や頭部径はメーカーごとに違うので、カタログで確認してください。
現場での注意点
カッターは必要なΦ以上で、いちばん近いものを
90度の皿取りカッターを使い、刃径は必要な皿切りΦに近いものを選びます。
刃径が小さいと頭が沈み切らず、大きすぎると皿が広がって見た目が荒れます。
小頭皿(サッシねじ)は別物
建築で使われる小頭皿は、頭部径が一般の皿小ねじより小さくなっています。
たとえばM4の頭部径は、一般が8、小頭が6です。
同じカッターは使えないので、現物に合わせて確認してください。
木ねじの皿切りは頭部径+0.5mm程度を目安に
木ねじの皿切りは、呼び径3.8までは対応表③の寸法で切れます。
4.1以上は、頭部径に0.5mm程度足した刃径を目安に、端材で試し切りして決めるのが現実的です。
木工用の皿錐は、皿径と下穴径がセットになったものもあります。
まとめ
- バカ穴は、どんなネジでも開ける、軸を通す穴。
- 皿切りは、皿ネジのときだけ、バカ穴に加える加工です。
- 皿切りΦは頭部径より少し大きく、バカ穴Φはネジ径より少し大きく取ります。
- ISO系の頭と国内の一般的な皿小ねじでは寸法が少し違うので、迷ったら試し切りで確認します。
- ビス穴を端に寄せ過ぎると、皿頭のはみ出しや、穴あけの熱による母材のひずみにつながります。
寸法は規格やメーカーによって異なる場合があります。
実際の施工では、使用するネジの仕様を確認してください。
私の経験がみなさんの参考になればうれしいです。
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