建築施工管理の納め方、ディティールを学ぶための書籍はたくさんあるのですが
店舗系の施工管理者が読むための書籍は皆無です
これは私が知っている知識をまとめるしかない。ちょっとした使命感でこの記事を作っています
これから店舗の施工管理として頑張る方や
先輩の方々にも共感していただけるのではないでしょうか
今回は什器や造作家具を納めるときの「逃げ寸法」について書いてみました
ご一読いただけると幸いです
逃げ0mmで作った結果
巾2000mmの家具を、両側が壁の開口部に入れ込むケースを考えてみます。
開口も2000mmで作ってしまうと、逃げは0mm。 これはさすがに入りません。
では、開口を2005mmで作ればどうでしょうか。 5mmの逃げがあるので、計算上は問題なく入るはずです。
ところが、実際の現場ではこれでも入らないことがあります。
なぜ2005mmでも入らないのか
原因は、壁の足元(ランナー部分)だけ壁厚が想定より膨らんでいることです。
軽鉄下地の壁は、スタッド(65mm)+石膏ボード(12.5mm×2枚)で、中間の壁厚は90mmになります。 しかし床面はランナー(内寸67mm)にボードが乗るため、ボードがランナーに向かってしなり(撓み)、壁厚は92mmになります。
つまり床面だけ、左右それぞれ1mmずつ壁が膨らんでいるのです。 2005mmの開口も、足元では実質2003mmしかない、ということが起こります。
(この現象の詳しい理屈は【図面のキホン】軽鉄の幅は92mmで解説しています)

出隅に塩ビコーナーがある場合はさらに要注意
壁の端部が「出隅」で、そこに塩ビコーナーが入る納まりの場合は、足元の膨らみ以上に気をつける必要があります。
塩ビコーナーを貼ってパテで仕上げると、壁厚90mmに対してコーナー部の端部は93〜94mm程度まで膨らみます。 しかもこの数値は、コーナーを鋭角に貼るか鈍角気味になるかの塩梅で現場ごとにブレます。
さらに、塩ビコーナーを施工する際に「グッと押し込みすぎる」と、コーナー自体の角度が広がって鈍角になり、パテを当てる基準がずれてしまうという失敗も起こり得ます。
つまり出隅がある壁では、「足元の膨らみ」に加えて「コーナー部の膨らみ、しかも施工次第でブレる」という要素が重なるため、逃げはより慎重に見ておく必要があります。
逃げ寸法は「足元の膨らみ」+「仕上げ材の精度」
逃げ寸法を考えるときは、まずこの足元の膨らみ分を前提として織り込んだうえで、 そこに仕上げ材ごとの精度・凹凸による逃げを上乗せして考えます。
- 金物・木仕上げ:仕上げ面から+4mm
- タイル(標準):+5mm
- タイル(フラット):+4mm
- タイル(凹凸あり):+6mm
- クロス:+4mm
左官仕上げだけは、仕上げの種類によって幅があります。
左官仕上げの逃げ寸法
- 薄塗り材(樹脂モルタル系):塗り厚1mm強程度
- ジョリパットなど骨材(小)入り:3mm弱程度
- 凹凸の大きい仕上げ:3〜4mm程度
本格的な左官仕上げ(下地=ラスカット、下塗り=軽量モルタル、中塗り=モルタル材、上塗り=モルタル薄塗材)の場合、 工程を重ねると壁厚は合計8mm程度になります。中塗りのモルタルをそのまま仕上げとすることもあります。 薄塗材は樹脂モルタルのため、モルタルよりも表面をフラットに仕上げられるのが特徴です。
まとめ
什器・造作家具を納めるときの逃げ寸法は、
- 足元(ランナー部分)の壁の膨らみを織り込む
- そのうえで仕上げ材の精度・凹凸に応じた逃げを上乗せする
という二段構えで考えることが大切です。 「計算上は入るはず」を鵜呑みにせず、足元の納まりまで意識してみてください。
私の経験がみなさんの参考になればうれしいです。
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