建築施工管理の納め方、ディティールを学ぶための書籍はたくさんあるのですが
店舗系の施工管理者用の書籍は皆無です
これは私が知っている知識をまとめるしかない。ちょっとした使命感でこの記事をつくりました
これから店舗の施工管理として頑張る方
先輩の方々にも共感していただけるのではないでしょうか
今回は基本図と実施図の違いについてです。
ご一読いただけると幸いです
ことの始まり
先日内装工事業界の仲間からのお願いで
自分は設計だけを請けるので、私に元請けとして工事を請けてくれないかとの依頼がありました。
仲間から信頼されたんだ、よし!協力しよう
二つ返事で依頼を承諾しました。

ぜひお願いします!
- 施主と直接契約(仲間は施主と設計契約)
- 私が繁忙期に入る前に竣工
条件はたった2つです。
1.施主と直接契約をする理由は、確実に集金するための通常の手段です。仲間を信用していない訳ではないのですが、集金は大事なことです。
2.私が繁忙期に入る前に竣工することはなぜかと言うと、繁忙期に入ると職人さんを確保できない可能性が大きくなるからです。
結果、施主にご迷惑をかけるし仕事を依頼してくれた仲間にも迷惑をかけるかもしれないからです。
不信感を抱いたわけ
着工までのフローはこんな感じで伝えてありました。
これは通常のフローです。
- 設計図書をもらい見積もりを作成
↓ - 見積書を元に施主と顔合わせ
↓ - 工事契約
↓ - 着工、現場施工
↓ - 引渡し、集金
↓ - OPEN
しかし、1.の設計図がなかなか出てこない。←着工の1ヶ月前

2、3日間隔で催促してたけど一向に出てこない…
ようやく基本図が出てきましたのですが、図面をみて驚愕

基本図というよりも概要図でした。
図面の種類別の内容の充実度は?
概要図<基本図<実施図
の順番になります。
概要図はプレゼン資料のようなものです
基本図と実施図
概要図で見積もりをつくるのはかなり大まかになります。
出来たとしても、○○円/坪 レベルでしょう。

これじゃ概算見積しかできないよ!

レイアウトやざっくりの造作しかわかりません。
基本図で出せる見積もり
施主は当然、仲間が欲しいのは工事見積もり
しかし、設計(仲間)から出てきた図面は「基本図」のみ
私から出せる見積もりは【概算見積のみ】
基本図では概算しか出せないよ。と伝えているのですが
『図面があるのに、なぜ概算になっちゃうの?』と言ってきます

なんでちゃんと見積もりしてくれないの?
基本図で出せる見積もりと、実施図で出せる見積もり
内容は何が違う?
基本図と実施図の違い
基本図とは、ざっくり言うと概要を伝えるための図面
内装のレイアウトや確保したい寸法の検証、動線の確認や、内装の仕上げを決めるための図面となります。
ここではディティールなどは決めずに大雑把な素材感で話を進めていくことが多いです。

まずは全体のイメージを共有して、固めていくための資料が基本図です
では、実施図とは
実施図とは、基本図を元に具体的な寸法、詳細、素材を決めて図面化したものです。
この実施図には造作図も含まれます。
この実施図ができたら設計者の手を離れ、施工者の元へ行き実施図を元に施工図が作成されていきます。
施工図が始まると実施図を変更して施工図を変更するのはリスクを伴います。
施工図作成と変更の伝達の時間軸が絡み合い、手違いが起こることが多々あります。
施工図チェックをしっかりとこなせるスキルを持った設計者でも、見落とすことがある


造作でインローの線や、建具のドア、ACC(アクセサリーケース)が書き込まれているので、ポイントが分かってくるよ
仕上げ表で差が出る
基本図と実施図で明らかに違いが出るのは、仕上げ表の内容です。

基本図は概要、
実施図は使用するメーカーや品番、具体的な仕上げ方法が明記されていること。

基本図ではなんとなく、どんな内装になるか分かるレベルだね

そこまで決めないと見積もりできないの?
- 磁器タイルとは言っても、金額はピンキリ
- 塗装にしたって、全ツヤ仕上げとなると下地の作り方すら変わってきます。
- 什器の仕上げも、実施図で指定した「チーク」は銘木となりブックマッチをするとなると金額が計り知れません
概要ではなんとなく素材感が分かっても、実際は何を使うか決まらないと見積もりができない
と、言うわけです。
口頭ではダメ!
図面にするのは大変です。
よくあるのが『口頭で伝える』
これは絶対に了承してはいけません
いった本人(設計)も忘れることもあるし、聞いた施工者の勘違いも起こり得るからです。

じゃぁ【○○-◇◇-△】でお願いします。

口頭はダメ!
図面でください!!

お仕事ですからね
自分の仕事を全うしましょう
まとめ
設計者が基本図と実施図の性質をわかっていない、と感じた時は黄色ランプが点灯したと思って間違いありません。

わかっていない人は意外と多いかも
設計とは言いつつも実施図を描けない人もいますので、施工者はよく観察してください
現場で痛い目を見るのは我々です!!
私の経験がみなさんの参考になればうれしいです。
建築現場が良い環境になることを願って!

・記述添削サービスを受けられる
・モギ試験がある
・出題傾向を分析したマニュアルファイルがある

・施工管理技士にオススメ
・建築士にオススメ
私のバイブルです
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